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越智康貴 越智康貴
越智康貴

花と夢 vol.29

越智 康貴

花と夢 vol.29

越智 康貴

この記事は年末のご挨拶号
・らくがき
・御礼
の2本立てでお送りします!


らくがき

 たえまない嵐に見舞われた一年だった。もちろん嵐が遠くから運んできてくれたものもあった。
 目に見えないものを扱うことは、同時に現実をしっかり捉えていないと意味がないのだとわかる。たのしむべき味わいは、甘いものだけではないのだとわかる。

 自分の感覚を他人に預けてしまう癖がある。小さな頃から「お腹すいたね」と言われたら、空腹を感じていなくても「うん、すいたね」と返事をすることが常だった。——拒絶されることが怖かったから。
 この感覚が自分から剥がれる時、強烈な痛みを伴うことも理解した。
 正しい方法ではなくても、自分自身が人に愛情を注ぐことは、同時に自分自身に愛情を注がれたいと願っているからなのだとわかる。愛情と名付けたものが、暗い色をたたえて雑草のように育つ。
 がらくたで間違いだらけでも、積み重ねたものが多いほど、関係が機能しなくなっても執着してしまうのがわかる。

 人に優しくしているのは、まったく同じように自分が優しくされたいからだとわかる。これが加害だと、いつか気がつく日がくるのがわかる。気がついても、ただ並べたてて、眺めるだけで済まそうとすることがわかる。


御礼

 2023年は、この連載、『花と夢』と共にあった一年でした。
 目に見えない世界に片足を突っ込み、同時に、現実をしっかりと生きることが喜びをもたらすのだとわかった一日でした(ツラいことも多く、なかなか直視することが難しいのですが)。
 アンケートにご応募いただいた方々にも心から感謝しています。生年月日から出生時の天体配置図をつくり、本当に色々な人生があるんだな、と思って、大切に眺めさせてもらいました。
 回答には、良いと思ってもらえる部分も、そうでないものもあったと思います。
 ただ単に良いことを書くのは簡単で、でも、嘘になってしまうのは違うなと思っていました。心のどこかに、コントールしてしまいたいという欲求が浮かんできてしまうのです。けれど、それは無視して、出てきたものを可能な限りそのまま書くということを目標にしました。
 来年もまた、ユニークな企画ができたらいいな、と考えています(返答がまだの方も、追ってお返ししますので、いましばらくお時間をください)。

 だらだらした文章になってしまいましたが、今年もありがとうございました。
 素敵な年をお迎えください!


お読みいただきありがとうございます。
少しずつ更新します。

越智

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