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越智康貴 越智康貴
越智康貴

花と夢 vol.16

越智 康貴

花と夢 vol.16

越智 康貴

この記事は
花と夢 番外編です
・本のすすめ
をお送りします!


本のすすめ

『名文を書かない文章講座』


⁡ 村田喜代子さんによって書かれた『名文を書かない文章講座』という本があります。
 僕は文庫版を持っていて、何か書こうと思いながらも「上手く書き進められないなぁ」というときに、パラパラとページをめくります。

 この手の本(文章の書き方、みたいなもの)は、気になると手に取って読むようにしているのですが、ほとんどが最初のほうで読むのを諦めてしまいます。なんとなく「お説教くさくて、嫌! くさいくさい!」と思ってしまうのです。ひどい。
 けれど、この『名文を書かない文章講座』は、単純に読みものとしても面白く、読み進めながら何度も頷いてしまいます。

 文章を書くのは簡単であると同時に極めることは難しい、ということから始まり、口のなかでモゴモゴ喋って文章をつくろう、という実践的な内容がつづられ、推敲によって”だんだん嘘つきになる”ということが、最初の10ページ程度で書かれています。
 これだけでも、なんとなく「おぉ……」と思ってしまう内容なのですが、一冊を通して、実践的な内容から、日々の生活の観察の仕方にまで発展していきます。

 個人的な感覚ですが、文章を書くことを好む理由のひとつで、とくに大切なことは、日々を味わいたい、という衝動です。
 恐ろしく記憶力が悪いので、書き記しておきたい、という欲求が強くある、ということもあるのですが「あとで日記に書こう」と思いながら出来事を観察する習慣がついたことで、生活がたのしくなったような気がします。淋しさや苦しさもつぶさに観察してしまうので、果たしてプラスになっているのかは微妙です。


『ことばの食卓』

 おすすめしたい本をもう一冊。武田百合子さんによって書かれた『ことばの食卓』です。
 この本のなかに『枇杷』というエッセイが収録されているのですが、この話が、すごい。初めて読んだとき、驚きすぎて、思わず二回読みました(二回)。
「こんなふうなまなざしで日常をつぶさに観察できたらなぁ」と衝撃を受けた話です。
 
 僕は、エッセイに関して、少量なら嘘を交えていいんじゃないかな? と思っています。

 文章に限らず、なんでもそうなのですが、どれだけ嘘を入れて作られていても、制作物に於いては、やっぱり制作者本人がどうしても見えてきてしまうものだと感じることが多いです。
 はっきり言えば、つまらない人が作っているものは、どんな仕上げになっていても、つまらない。
 逆に、ものすごくペラペラな軽い内容のものでも、作っている人が面白いと、感じるものが多くなる、と思っています。

「お前は何が言いたいんだ。ブーメラン投げとるぞ」と言われたら隠れる穴もありませんが、独自の視点で世界を感じたいな! と思いました(ペラペラ)。

 良い週末を!


久しぶりにヴィヴィアンを着た結婚式

お読みいただきありがとうございます。
少しずつ更新していきます。

越智

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