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越智康貴 越智康貴
越智康貴

花と夢 vol.14

越智 康貴

花と夢 vol.14

越智 康貴

この記事は番外編です。
愚痴とオススメのBL漫画をお送りします。


 愚痴

 愚痴なんか読みたくない! というかたは、是非スクロールしてオススメのBL漫画へ(どちらも興味ない! という人は、そっと画面を……)。

 二十歳そこそこから、仕事にステ全振り(最近覚えた若者言葉——若者言葉ではないかもしれない)な日々を過ごしてきました。
 花屋は年末から五月末にかけて繁忙期で、六月に入るとペースダウンします。今年は仕事の忙しさに比例するように、六月になった途端にガクッと体調を崩しそうになりました。唐突に時間を持て余すと、考えなくても良い沼へ思考がずぶずぶとハマっていきます。実際に体調を崩すことはほとんどないのですが、気持ち的に。

 そう、気持ち的に、いま僕自身の「自己価値」というところで新旧入れ替え合戦が起きていて、かなり居心地が悪い状態になっています。報告、連絡(相談なし)。
 ある意味でアップデートされる時期だと思えるので希望も持ちながら、キリッと「はい、今日から新しいあなたです!」という感じではなく、行きつ戻りつしながら終わりの見えない螺旋階段を登らされているようで、厳しさをヒシヒシと感じています。
 さらに、"たゆたう"ことを強制されています。この"たゆたう"ことがどうしても苦手で、流れをコントロールしていないと気が済まないのに(徹底的に働かないと! とか)、コントロールできる要素はほとんどない! と言われている気持ちがしています。なんの話? って、自分で書いていても思います……。そういう時期です。混乱の端境期。

 気難しいほうだと自覚していますが、その構成要素自体は単純で、分類するなら十二個に分けられると思います。自分/生産/学習/居場所/創造性/義務/他人/性/旅/仕事/組織/無意識、です。これだけなのに、それぞれの出目や関連性で、頭の中がよく混乱しています。
 お金に関することは"生産"に。思想とか宗教感は"旅"に、恋愛なんかは"創造性"に入ります。健康は"義務"、とか。
 いまは、この要素がそれぞれバラバラな方向に強く向かってお互いを引きちぎろうとしています。体は一つなので、この矛盾をなかなかバランス良く受け入れられずに深いダメージを受けています。おまけに、なんでこんな事が起きるの、という驚きの事態を発生させてしまったり。
 低気圧にも左右されて物理的に身体も動かしづらいし……、つらいし……、と愚痴ばかり言っていても仕方がないので閑話休題、BLをオススメしようと思います——なんの話!? って!? いきなり舵を取ってぐるぐる回して方向転換。そういう時期です。混乱の端境期。


 オススメのBL漫画

 僕は、漫画家のはらだ先生が大好きです。出会いは、スタッフが誕生日に贈ってくれた一冊の漫画です。その名も『ハッピークソライフ』。タイトルに「?」となり、同時に「なぜBL?」という疑問を浮かべつつ、帰宅してからいそいそと読みました。
 これがもう、めちゃくちゃ面白くて。言葉を選ばずに伝えるとすれば絵がかわいくてアホでスケベで失礼ですが頭を使う必要が一切なく嬉々以外の感情の揺れがほとんど起きないのです(ここまでワンブレス)。
 当時は単行本一巻が出たばかりだったのですが、今は四巻まで発売されています。

 これでBLに目覚めた! と思ったのですが、そうでもなかったのか、特に他の漫画家の作品を漁ったりするわけでもなく(もともと中村明日美子先生や、よしながふみ先生等々、好きなかたはいるのですが)、とにかくはらだ先生の漫画をちょこちょこ買っては読む日々が始まりました。思えば小学生だったか中学生だったか、野球少年だった"僕たち"はクラブ活動後に誰かしらの家へ行き、峰倉かずや先生の最遊記や冨樫義博先生のHUNTER×HUNTER等々の同人誌(同人誌)を持ち寄り、ワイワイ交換して食い入るように読んでいました。性に対する認識が、まだまだ曖昧だった頃のこと。

『ワンルームエンジェル』は、喧嘩で刺殺されそうになった主人公が天使と出会って同棲する話(いまなんて?)なのですが、性的な描写がないため読みやすく、しかも話のつくりがシンプルで効果的に心を打ってくるのでオススメです。

『やじるし』は短編集なのですが「ここまでやらないけど、こういう気持ち感じるときあるよね」というような人間の支配的感情に焦点を当てた話ばかりで構成されています(けれどえぐられないのでオススメです)。

『ネガ』と『ポジ』は、それぞれ対になっているのですが、タイトル通りの短編集で、特に『ネガ』に収録されている『わたしたちはバイプレイヤー』という"「女子BL」という女の子視点のBLがテーマ"になっている話(いまなんて?)が抜群に面白くてオススメです。

『カラーレシピ』は美容室で起きるドタバタ劇場みたいな話なのですが(嘘です)、やはりここでも人間が持つ支配欲と自信の欠如などからくる複雑な心理模様が軽やかに描かれていて心を打つのでオススメです。

ポケットにBLを for you

『やたもも』は、はらだ先生的王道ストーリーだと思うのですが(決めつけているわけではないのですが、アホでスケベということです——失礼ですが)、やはり最終的に心を打つのでオススメです。

 全体的に、軽い読み心地で内容がないようなのに(失礼すぎますが)「時間を無駄にした!」みたいな気持ちに一切ならずに、まさに"たゆたう"べき時にはぴったりの漫画なので、オススメです。本当にオススメしているのに言語化すると小馬鹿にしているようになってしまうのですが、読んでもらえたら膝を強打すると思います。全て「オススメです」で締めてしまいましたが、いまチカラが出ないので、こんな風に軽い回もありかな、と思って書いてみました。元気な時にも、ですが、落ち込んでいる時、悲しい時、何もかもどうでもよくなってしまった時、やる気が出ない時、その他もろもろの、のんびりしたくなっているのに何かしなければと焦ってしまう時には是非、オススメです。


自分の横顔って新鮮

お読みいただきありがとうございます。
少しずつ更新していきます。

越智

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